Intuneコンプライアンスポリシー評価のタイミング/動作詳細
コンプライアンスポリシー評価のタイミング
コンプライアンスのチェックはデバイスが Intune と同期(チェックイン)された際に評価されます。
同期のタイミングは複数存在します。いずれかのタイミングに合致した際に、コンプライアンスポリシーの評価が Intune 上で行われます。
スケジュールされたチェックインのタイミング
Intune の同期は約 8 時間ごとに自動で実施されます。
注意点としは、デバイスが Intune に登録された初めのタイミングでは、この同期間隔が短くなっています。最初は、短く、徐々に長くなり、最終的に約8時間間隔となります。詳細は以下です(最新情報は、MSサイトを確認ください)
Microsoft Intune のポリシーとプロファイルに関する質問 | Microsoft Learn

スケジュールされたチェックインのタイミング以外
デバイス所有者や管理者が特定の操作を実施したタイミングなどで、チェックインが発生します。
▼参考情報
ポリシー更新間隔
コンプライアンスポリシー評価の仕組み詳細
- Intuneとの同期のタイミングで、デバイスはIntuneに対して、「Microsoft Entra デバイスID(Entra上でデバイスを識別する値)」「ユーザのオブジェクト ID(Entra上でユーザを識別する値)」が送付されます(図①)
- Intuneは、「Microsoft Entra デバイスID」「ユーザのオブジェクト ID」に対してデバイスコンプライアンスポリシーが割り当てられているかをチェックし、評価に必要となる情報の提供をデバイスに要求します(図②③
- デバイスから送付された情報を元に、評価をします(結果、準拠マークまたは非準拠マークが更新されます)(図⑤)

デバイスに対してコンプライアンスポリシーを割り当てた場合は、「Microsoft Entra デバイス ID」にコンプライアンスポリシーが割当たりますし、ユーザに対してコンプライアンスポリシーを割り当てた場合は、「ユーザのオブジェクト ID」に対してコンプライアンスポリシーが割当たります。
(参考)Microsoft Entra デバイス ID、ユーザのオブジェクト IDの確認方法
▼Microsoft Entra デバイス ID
[Intune 管理センター] – [デバイス] – [すべてのデバイス] – デバイスを選択 – [ハードウェア]
▼ユーザのオブジェクト ID
[Intune 管理センター] – [ユーザー] – ユーザーを選択 – [ハードウェア]
Intuneとの同期ができない場合、評価結果はどうなるか
例えば、Intuneとの同期のタイミングで、デバイス側がIntuneと同期できない状態だった場合(電源オフ、NWに接続されていない 等)、評価結果は変化しません。
デバイスにコンプライアンスポリシーを割り当てた場合の注意点
Intune上では、デバイスとユーザが紐づいているため、コンプライアンスポリシーを、デバイスに割り当てた場合でも、ユーザに割り当てた場合でも結果は同じではないか?と疑問を持つ人もいると思いますが、挙動が若干変わります。
以下のようなケースで特殊な動きとなります。
- デバイスA(Windows OS)にコンプライアンスポリシー①が割り当たっている
- Intune上で、デバイスAに紐づくユーザAにもコンプライアンスポリシー②が割当たっている
- デバイスA にローカルユーザ(デバイスA上で作成されているユーザ)でログイン
この場合、結論としてはコンプライアンスポリシー①のみが評価対象となります。
Intuneとの同期のタイミングで、デバイスはIntuneに対して、Microsoft Entra デバイスIDとして「デバイスAのMicrosoft Entra デバイスID」、ユーザのオブジェクト IDとして「00000000-0000-0000-0000-000000000000」が送信されます。(★「00000000-0000-0000-0000-000000000000」はローカルユーザでログインしている場合のみに送付される特殊な値です)
Intuneは、デバイスから送信された、「デバイスAのMicrosoft Entra デバイスID」の情報を元に、デバイスA(Windows OS)にコンプライアンスポリシーが割り当たっているか確認し、割当たっていたら評価します(デバイスA(Windows OS)にコンプライアンスポリシー①が割当たっているため、コンプライアンスポリシー①が評価されます)
Intuneは、デバイスから送信された、ユーザのオブジェクト ID「00000000-0000-0000-0000-000000000000」の情報を元に、このユーザのオブジェクトIDにコンプライアンスポリシーが割り当たっているか確認し、割当たっていたら評価します(ユーザAのオブジェクトIDにはコンプライアンスポリシー②が割当たっていますが、オブジェクト ID「00000000-0000-0000-0000-000000000000」には、コンプライアンスポリシーは何も当たっていないため、コンプライアンスポリシー②は評価されません)
★上記のように、デバイスにコンプライアンスポリシーを割り当てると「ローカルユーザ」でデバイスにログインしている場合も、コンプライアンスポリシーも評価されるので、注意が必要です(たとえば、「ローカルユーザ」が何かしら理由で、コンプライアンスポリシーに反する設定をデバイスにしてしまった場合、Intune上では対象デバイスは”非準拠”マークが付いてしまいます)。
上記シナリオが発生した後の、Intune上でのデバイスAのユーザプリンシパル名の表示
Intune上では、デバイスAは、ユーザプリンシパル名の項目に「システムアカウント」と表示されます。

一般的に「システムアカウント」というと、Windows上で勝手にバックグラウンドで起動していて、タスクマネージャで表示されている「SYSTEM」(以下の図)を想像される方が多いと思いますが、Intune上のユーザプリンシパル名の項目に表示される「システムアカウント」は、一般的な「システムアカウント」と意味が違います(混乱する原因の一つ)。
タスクマネージャの表示例↓

Intune上で表示されている「システムアカウント」の意味は、単純に「ローカルユーザ」と理解するのがよいでしょう(「システムアカウント」という言葉に混乱させられないようにしましょう)。
Android、iOSなどデバイスを使い始める際にデバイスにログインするという概念がない製品の場合、Intuneに送信されるユーザのオブジェクト IDはどの値になるか
たとえば、WIndos OSの場合は、EntraユーザAでデバイスにログインしたら、Intuneとの同期のタイミングで、EntraユーザAのオブジェクトIDが、Intuneに送信されます。
では、Androidなど、ログインプロセスがないようなデバイスは、Intuneとの同期のタイミングでは、どのユーザのオブジェクトIDが、Intuneに送信されるのでしょうか。
答えは、Intune にデバイスを登録した際に使用したEntraユーザのオブジェクトIDが、Intuneに送信されます。
Androidなどは、Intuneにデバイスを登録する際に、Intuneアプリを利用します。デバイスを登録するプロセスの中で、Entra ユーザのUPN/パスワードを入力する必要があります(ここで、Intune アプリは、デバイス登録に使用されたEntra ユーザを認識できます)
Androidなどの、非WindowsOSデバイスでは、Intuneとの同期タイミングで、Intuneに「Microsoft Entra デバイスID」「ユーザのオブジェクト ID」を送信する役割は、この Intuneアプリが担います(Windows OSの場合は、OSが勝手にやってくれます)。Intune アプリは、Intune にデバイスを登録した際に使用されたEntra ユーザを認識できていますので、Intuneとの同期タイミングで、IこのEntra ユーザのオブジェクトIDが、Intuneに送付されることになります。
その他
Entra ID への情報反映のタイムラグについて(注意点)
前提として、コンプライアンスポリシーの判定結果(準拠、非準拠)は、Entra IDの条件付きアクセスポリシーで使用されます。【2025年2月4日開催】デバイス管理サービス IntuneとEntra IDの関係を学ぼう(基礎編) | mitsurublog
Entra IDは条件付きアクセスポリシーの判定時に、都度Intuneに対象デバイスのコンプライアンスポリシーの判定結果を確認しているわけではなく、Intuneからコンプライアスポリシーの判定結果を同期してもらい、Entra ID内で保有しています。
やっかいなのことに、この情報反映はリアルタイムで実施されない仕様になっています。
たとえば、Intune 上で、コンプライアンスポリシーの判定結果が、「準拠→非準拠」変わった場合でも、Entra ID上では、「準拠」のままなっているタイミングが存在しています。
「非準拠デバイスは、M365へのアクセスをブロックする」というような条件付きアクセスポリシーがあった場合に、「Intune上で非準拠だけど、なぜかM365へのアクセスがブロックされない」というようなことも発生してしまう可能性があります。
「Intune ⇒ Entra ID」の情報反映について、どれくらいタイムラグがあるかについては、MSは公表していません(MSサポートへ確認済み)。私の検証環境で試したところ、数十分程度で情報反映されました。
この辺りの仕様は、トラブル対応時に混乱する原因になるので、しっかり抑えておくとよいでしょう。
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