Microsoft 365のデータを日本に保存するための基本的な考え方 ver2

本記事では、Microsoft 365のデータ所在地に関する基本的な考え方を整理します。

実際のデータ保存場所や適用されるコミットメントは、テナントの契約内容や利用サービス、現在のデータ配置状況などによって異なる場合があります。テナント環境に応じて厳密に確認したい場合は、Microsoftサポートへの個別確認をおすすめします(仕組み自体がそもそも結構複雑だったりしますので。。。)

結論:すべてのMicrosoft 365のデータの日本保存をコミットメントする方法はない

  • テナント一括でMicrosoft 365の全てのデータを日本保存コミットメントするといった機能は、現時点ではない(2026年10月時点)
  • 一部のサービス、一部のデータについては、Product TermsやADRの仕組みによりコミットメント可能

(用語の確認)既定の地域・現在の地域・コミットされた地域

Microsoft 365のデータ所在地を理解するうえでは、まずは以下の3つの用語を確認しておくとよいです。

  • 既定の地域(Default Geography):テナントの基準となる地域
  • 現在の地域(Current Geography):データが現在保存されている地域
  • コミットされた地域(Committed Geography):Microsoftが対象データを保存すると約束している地域

既定の地域は、テナントのサインアップ時に指定した国・地域などをもとに決まります。

基本的には、「現在の地域=コミットされた地域」となりますが、一部例外的に異なる場合があります(後述)

データの保存場所が日本になっているか(将来的にも日本に保存され続けるか)については、「コミットされた地域」が日本になっていることがポイントとなります

コミットされた地域を「日本」にする方法

以下の3つの方法があります。ただし各々コミットメント対象となるサービスが異なります。

  • Product Terms(製品条項) :追加費用なし
  • ADR(高度なデータ所在地) :追加費用発生
  • Multi-Geo機能 :追加費用発生

「Multi-Geo機能」については、Multi-Geo は複数の地域にデータを保存する必要がある組織向けの機能であり、「日本に限定したい」という要件とは方向性が若干異なるため、本記事では割愛します。

Product Termsによる日本保存コミットメント

Product Termsでは、特定の地域でテナント開設した場合に、対象となる顧客データをその地域内に保存することがコミットメントされています。日本も対象地域の一つです。

Product Termsの対象には、Exchange Online、SharePoint、OneDrive for Business、Microsoft Teams、Microsoft 365 CopilotおよびCopilot Chatのコアサービスが含まれます。

例えば、Exchange Onlineでは、主に次のデータが対象です。

  • メール本文
  • 予定表
  • メール添付ファイルの内容

SharePoint、OneDrive、Teams、Copilotなどにも、それぞれ対象となるデータが定められています。一方、各サービスに関係するすべてのデータがProduct Termsの対象になるわけではありません。対象データはサービスごとに確認してください。

(参考情報)

「コア オンライン サービスの顧客データの保存場所」の項

Microsoft Product Terms

ADRによる日本保存コミットメント

Advanced Data Residency(ADR)は、Microsoft 365のデータ所在地に関する有償アドオンです。

ADR は製品条項よりも対象となるサービスが広がります(一つのサービス内における対象となるデータが広がるわけではありません)

ADRによってコミットメント対象となるサービスは「拡張サービス」と呼ばれます。

拡張サービスには、Microsoft Defender for Office P1、EOP、Office for the web、Viva Connections、Microsoft Purview の一部が含まれます。

Advanced Data Residency: データ コミットメント – Microsoft 365 Enterprise
Microsoft 365 Advanced Data Residency (ADR) を使用してローカル リージョンの地理的に保存されている顧客データについて説明します。

補足

ADRは、拡張サービスのデータ についても、日本へのコミットメントが必要な場合に加えて、(何かしらの理由により)現在日本以外に保存されているデータを、日本へ移行する必要がある場合にも活用できます。

Product TermsやADRを利用したとしても、すべてのデータについて日本国内での保存がコミットメントされるわけではない

Product TermsやADRを利用しても、Microsoft 365に存在するすべてのデータが日本への保存コミットメント対象になるわけではありません。

(1) コミットメントを実現する方法がないサービスのデータ

Microsoft Forms、Planner、Whiteboard などが該当します。これらのサービスのデータの保存場所は、サービスごとの公開情報で説明されています。

(2) コミットメントを実現する方法がある対象サービスの中でも、コミットメント対象データとして明記されていないデータ

コミットメントは “Exchange Online のメールボックスの内容” のように、対象となるデータを特定して定められています。”連絡先”などは対象データに含まれていません。

(3) 保存データ以外のデータ

コミットメントは主に保存データを対象としております。処理中のデータなどは、データの保存場所とは異なる地域のサーバーで処理される場合があります。

なお、コミットメントがないデータは、MSがサービスを効果的に提供できる場所に保存され、その場所は予告なく変更される場合があります。

その他(もろもろ補足)

現在の地域とコミットされた地域が一致しない例

(1) ADR を購入したが、日本への移行をまだ開始していない場合

(2) ADR による日本への移行の途中の場合

コミットされた地域は移行の開始時にすぐ日本に変わり、現在の地域はサービスごとに移行が完了した時点で日本に変わります。

(3) 製品条項の対象であるものの、従来の移行プログラムに参加しなかったため、データが日本以外に保存されたままの場合

この移行プログラムは 2023 年 4 月 30 日に終了しています。現在、このようなデータを日本へ移すには、ADR を購入して移行を開始する必要があります。(3) は、移行中のような一時的な状態とは異なります。

<参考情報>

タイトル : データ ロケーション カード

アドレス : https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/enterprise/m365-dr-data-location-card?view=o365-worldwide

—- 以下、抜粋 —-

[データ ロケーション カード] には、次の 3 つの列が表示されます。

サービス : Data Residency の対象となる Microsoft 365 サービス

現在の地理 : 顧客データが現在保存されている場所

コミットされた地理 : Microsoft がお客様の Data Residency コミットメントに基づいて顧客データを保存することを約束する場所

<中略>

現在の地理とコミットされた地理の不一致

現在の地理とコミットされた地理間の不一致は、次のシナリオで現れる可能性があります。

ADR を購入したが移行を開始していない

ADR の購入後にテナント全体管理者が移行をまだオプトインしていない場合、データ場所カードに不一致が表示されます。

<中略>

ADR 移行が進行中です

移行をオプトインすると、コミットされた地理はすぐに更新されますが、現在の地理は各サービスが移行を完了したときにのみ更新されます。

製品条項の対象はあるが、従来の移動プログラムには参加していない

テナントが製品条件に基づいて Data Residency の対象であるが、Legacy Move プログラムに参加していない場合は、不一致が存在する可能性があります。移行を開始するには、ADR ライセンスを購入してオプトインします。

ADR ライセンス要件を満たしていない

テナントが ADR ライセンス要件を満たしていない場合、コミットされた地域は、新しいコミットメントの状態を反映するように変更されます。

—- 抜粋、以上 —-

タイトル : データの場所に関する FAQ

アドレス : https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/enterprise/m365-dr-data-location-faq?view=o365-worldwide

—- 以下、抜粋 —-

Microsoft は、2023 年 4 月 30 日にレガシ移行プログラムを廃止しました。この期限より前にリクエストを送信したお客様は、元のプログラム条件に基づいて移行されます。ADR は、移行サービスを含む唯一の Data Location の永続的なコミットメントになりました。

—- 抜粋、以上 —-

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ADRライセンスの考え方

ADRを利用する場合は、テナント内のADR対象となる有償ライセンスを100%カバーする必要があります。

たとえば、次のライセンス構成の場合、Microsoft 365 Apps for EnterpriseはADR対象製品ですが、Entra ID P1単独のライセンスはADR対象製品の一覧に含まれません。

  • Microsoft 365 Apps for Enterprise:100ライセンス
  • Microsoft Entra ID P1:100ライセンス

この例では、ADRライセンス数の算定対象となるのはMicrosoft 365 Apps for Enterpriseの100ライセンスです。また、実際のユーザーへの割当数ではなく、購入済みで利用可能なADR対象ライセンス数を基準に考えます。

たとえば、

Microsoft 365 Apps for Enterprise:120ライセンス保有
実際の割当:100ユーザー

であれば、ADRも120ライセンス必要になる、という考え方です。

ADRライセンスの価格

公式サイトに掲載されておりませんでしたので、販売元に確認が必要です。

以下のサイトでは、年額3588円と記載されておりました(参考)

Microsoft CSP NCE 年額一括 ※2024年5月以降価格 | 法人向けソフトウェア・サービスのライセンスWebストア「ライセンスオンライン Biz」
ライセンスオンラインBizは、安心してさっと見積もり・さっとご購入いただける法人様向けソフトウェア・サービスのライセンスWebストアです。

データ保存場所の確認方法

Microsoft 365管理センターで確認が可能です。

  1.  […すべてを表示] >[設定]をクリックし、表示されたメニューから[組織設定]をクリックします。
  2. [組織のプロファイル]タブをクリックし、[データの場所]をクリックします。

以下のようなデータロケーションカードが表示されます。

(補足)

Exchange Online Protection と Viva Connections のコミットされた地域が “No Commitment” となっております。Exchange Online Protection や Viva Connections は、ADRの対象サービスなので、本テナントではADRライセンスが適用されていないと判断できます。

ADR対象サービスの中でもデータロケーションカードに表示されないサービスもある(Entra ID等)

データ ロケーション カードには、ADR の対象サービスがすべて表示されるわけではありません。現時点では、Exchange Online Protection ・Viva Connections のみが表示されています。

MSサポートに確認したところ、以下のADR対象サービスについては、順次表示される予定とのことです。

・ Microsoft Purview の一部 (監査、データ ライフサイクル管理、データ損失防止、Information Barriers、Information Protection)

・ Office for the web (公開情報の一部では “Microsoft 365 Web アプリ” と表記されております)

・ Microsoft Defender for Office P1

サービス固有のデータ保存ルールが定められているサービスもある

たとえば、Entra IDですと、以下のように記載されています。

Microsoft Entra ID は、Microsoft Online サービスにサインアップしたときに指定した国/地域に基づいて、顧客データを地理的な場所に格納します。

ただし、コミットメントまでされているかは明記されていないようでした。

上記Entra IDのように、データロケーションカードに記載されていないサービスについても、サービス固有のデータ保存ルールにより、データの保存場所が日本になっている可能性があります(サービス毎に確認が必要)。

日本のお客様向けカスタマー データ ストレージ – Microsoft Entra
Microsoft Entra ID が日本のお客様の顧客関連データを格納する場所について説明します。

関連用語の定義

・ 地域 (Geography)

  データを保存する場所を表す単位で、次の “ローカル リージョン地域” と “マクロ リージョン地域” の総称。  公開情報の日本語版や管理センターでは、”地理” と表記される場合がある。

・ ローカル リージョン地域 (Local Region Geography)

  Microsoft 365 専用のデータセンターがある国・地域。日本も含まれます。データの場所が “日本” の場合、データは日本国内のデータセンターに保存されます。

・ マクロ リージョン地域 (Macro Region Geography)

  複数の国にまたがる、より広い地域。たとえば “アジア太平洋” には、日本、香港、シンガポールなどのデータセンターが含まれ、データはそのいずれかに保存されます。

・ 既定の地域 (Default Geography)

  テナント作成時に指定した国・地域。各サービスの既定の保存場所を決める基準となり、後から変更することはできません。

・ 現在の地域 (Current Geography)

  データが現在、実際に保存されている場所

・ コミットされた地域 (Committed Geography)

MSがデータの保存を約束している場所

・ コア サービス

  Exchange Online、SharePoint、OneDrive、Microsoft Teams、Microsoft 365 Copilot、Microsoft 365 Copilot Chat

・ 拡張サービス

  Microsoft Defender for Office P1、Exchange Online Protection (EOP)、Office for the web、Viva Connections、Microsoft Purview の一部のサービス

・ データ ロケーション カード

  Microsoft 365 管理センターの [設定] – [組織設定] – [組織のプロファイル] タブ – [データの場所] に表示される一覧。サービスごとに、現在の地域とコミットされた地域を確認できる

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