Microsoft 365のデータを日本に保存するための基本的な考え方

本記事では、Microsoft 365のデータ所在地に関する基本的な考え方を整理します。

実際のデータ保存場所や適用されるコミットメントは、テナントの契約内容や利用サービス、現在のデータ配置状況などによって異なる場合があります。実際の要件確認では、必要に応じてMicrosoftサポートなどへの確認をおすすめします。

既定の地域・現在の地域・コミットされた地域

Microsoft 365のデータ所在地を理解するうえでは、次の3つを分けて考えると分かりやすいです。

  • 既定の地域(Default Geography):テナントの基準となる地域
  • 現在の地域(Current Geography):データが現在保存されている地域
  • コミットされた地域(Committed Geography):Microsoftが対象データを保存すると約束している地域

既定の地域は、テナントのサインアップ時に指定した国・地域などをもとに決まります。

たとえば、既定の地域が日本であり、Product Termsによる日本へのデータ所在地コミットメントの対象となるデータであれば、コミットされた地域は日本です。通常は現在の地域も日本ですが、データのプロビジョニングや移行中などの過渡的な状態では異なる場合があります。

既定の地域:日本
現在の地域:日本
コミットされた地域:日本

つまり、Product Termsで日本へのデータ所在地コミットメントが提供されているデータについては、通常は実際の保存先も日本になります。

ただし、データ移行中などの過渡的な状態では、

現在の地域:日本以外
コミットされた地域:日本

となる場合があります。

「現在の地域」と「コミットされた地域」が分かれているのは、実際に現在どこにあるのかと、将来も含めてどこに保存すると約束されているのかが別の概念だからです。

Product Termsによるデータ所在地コミットメント

Product Termsでは、対象となる契約・テナントについて、特定の地域でプロビジョニングした場合に、対象となる顧客データをその地域内に保存することが定められています。日本も対象地域の一つです。商用テナントでは、テナントの既定の地域が日本であることなど、適用条件を満たす必要があります。

Product Termsの対象には、Exchange Online、SharePoint、OneDrive for Business、Microsoft Teams、Microsoft 365 CopilotおよびCopilot Chatのコアサービスが含まれます。Exchange Onlineでは、主に次のデータが対象です。

  • メール本文
  • 予定表
  • メール添付ファイルの内容

SharePoint、OneDrive、Teams、Copilotなどにも、それぞれ対象となるデータが定められています。一方、各サービスに関係するすべてのデータがProduct Termsの対象になるわけではありません。対象データはサービスごとに確認してください。教育機関向けなど、テナントの種類によって条件が異なる場合もあります。

ADRはProduct Termsより対象範囲が広い

Advanced Data Residency(ADR)は、Microsoft 365のデータ所在地に関する有償アドオンです。

Exchange Online、SharePoint Online、OneDrive、Teamsなどのコアサービスは、Product TermsとADRの両方に関係します。このとき重要なのは、Product TermsとADRでは対象となるデータの範囲が異なるという点です。

基本的なイメージとしては、次のようになります。

Product Termsでコミットされる対象データ
<
ADRでコミットされる対象データ

Exchange Online(ExO)を例にすると、メールボックスの本文・予定表・添付ファイルの内容は、Product TermsとADRの両方で対象です。つまり、このメールボックスデータについては、ADRにすると対象項目そのものが増えるという違いではありません。一方、ADRでは追加のサービスも対象となり、たとえばExchange Online Protection(EOP)のサービス設定・ポリシー、検疫メールや添付ファイル、迷惑メール、レポートやアラートなどもコミットメント対象に含まれます。同じメール関連の領域でも、どのサービスのどのデータかによって対象範囲が異なります。

ADRは、コアサービスに加えて、Exchange Online Protection、Office for the web、Viva Connections、Microsoft Purviewの一部機能(Audit、Data Lifecycle Management、DLP、Information Barriers、Information Protectionなど)も対象に含みます。具体的にどのデータが対象かは、サービスごとのデータコミットメント一覧で確認してください。

そのため、Product Termsですでに日本保存がコミットされているサービスであっても、より広い範囲のデータについて日本保存をコミットしたい場合には、ADRを利用する意味があります。

Product TermsやADRでもすべてのデータが日本保存になるわけではない

Product TermsやADRを利用しても、Microsoft 365に存在するすべてのデータが日本への保存コミットメント対象になるわけではありません。

サービスやデータの種類によっては、

  • Product Termsの対象外
  • ADRの対象外
  • サービス独自のデータ所在地ルールが適用される

といったケースがあります。

そのため、

ADRを契約すればMicrosoft 365のすべてのデータが日本保存になる

という理解は正しくありません。

どのサービスのどのデータがコミットメント対象なのかを個別に確認する必要があります。また、Multi-Geoを利用している場合は、設定に応じて一部のデータが複数の地域に保存されることがあります。

ADRライセンスの考え方

ADRを利用する場合は、テナント内のADR対象となる有償ライセンスを100%カバーする必要があります。対象となる製品やテナント種別によって算定条件が異なるため、最新のMicrosoft公式ライセンス要件も確認してください。

たとえば、次のライセンス構成の場合、Microsoft 365 Apps for EnterpriseはADR対象製品ですが、Entra ID P1単独のライセンスはADR対象製品の一覧に含まれません。

  • Microsoft 365 Apps for Enterprise:100ライセンス
  • Microsoft Entra ID P1:100ライセンス

この例では、ADRライセンス数の算定対象となるのはMicrosoft 365 Apps for Enterpriseの100ライセンスです。

また、基本的には実際のユーザーへの割当数ではなく、購入済みで利用可能なADR対象ライセンス数を基準に考えます。

たとえば、

Microsoft 365 Apps for Enterprise:120ライセンス保有
実際の割当:100ユーザー

であれば、ADRも120ライセンス必要になる、という考え方です。

まとめ

Microsoft 365のデータ所在地を整理する際は、まず次の関係を押さえておくと分かりやすいです。

既定の地域が日本
+ Product Terms対象データ
→ 通常は「現在の地域:日本」「コミットされた地域:日本」

一方で、

Product TermsよりADRの方が、データ所在地コミットメントの対象範囲が広い

という違いがあります。

ただし、Product TermsやADRを利用しても、Microsoft 365内のすべてのデータが日本保存のコミットメント対象になるわけではありません。

そのため、日本国内へのデータ保存が要件となる場合は、対象サービスだけでなく、どのデータまで日本保存がコミットされているのかを確認することが重要です。

参考情報

※本記事は2026年10月時点のMicrosoft公式資料をもとにしています。契約、サービス、SKU構成による個別要件は、Microsoftまたは契約窓口にご確認ください。

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