Exchange Onlineのメール容量について(拡張方法も)

基本的な考え方

Exchange Online のプライマリメールボックスおよび、オンラインアーカイブ (ドキュメントによっては、インプレースアーカイブ 、アーカイブメールボックスとも記載されていますが、すべて同じ意味です) は、[受信トレイ] などのアイテムが格納される [通常領域] および、削除したアイテムが格納される [回復可能なアイテム領域] の 2 つの領域にて構成されています。

※ プライマリメールボックスおよび、オンラインアーカイブにそれぞれにて、[受信トレイ] などのアイテムが格納される [通常領域] および、削除したアイテムが格納される [回復可能なアイテム領域] の 2 つの領域にて構成されています。

各領域の容量について、プライマリメールボックスとオンラインアーカイブの [通常領域] については、対象メールボックスに適用されているライセンスによって異なる動作となります。

例として、Office 365 E5 など、Exchange Online Plan 2 ライセンスの場合は 100GB となります。

上記 [通常領域] は、ユーザーが Outlook on the web や Outlook クライアント上から目視可能なフォルダー (受信トレイや下書きフォルダーなど、以下の赤枠部部分) やメールアイテム、予定表や、連絡先などが該当します。

※以下赤枠部分に「アーカイブ」というフォルダがありますが、こちらは、上記説明で出している「オンラインアーカイブ」とは別のものとなります。この「アーカイブ」フォルダは、単純に「通常領域」に既定で作成されている「アーカイブ」と名前が付けられたフォルダだと認識ください。

<参考情報>

Title : Exchange Online の制限

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits

※ [メールボックス格納域の制限] > [ユーザー メールボックス]、[アーカイブ メールボックス] 項目に記載があります。

一方で、削除したアイテムが格納される [回復可能なアイテム領域] については、[削除済みアイテム] フォルダーからさらにアイテムを削除した際に、そのアイテムの保存先として利用される[回復可能なアイテム] 領域などがあります。([削除済みアイテム] フォルダからアイテムを削除すると、そのアイテムは、見て目上は、[回復可能なアイテム] 領域]に移動したように見えます)

プライマリメールボックスとオンラインアーカイブの [回復可能なアイテム領域] につきましては、[訴訟ホールド] などのメールボックス保持機能が無効な場合は 30 GB となり、メールボックス保持機能が有効な場合は 100GB となります。

<参考情報>

Title : Exchange Online の制限

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits

※ [メールボックス フォルダーの制限] > [プライマリ メールボックスの回復可能なアイテム フォルダーの記憶域のクォータ (保留ではないもの)]、[プライマリ メールボックスの回復可能なアイテム フォルダーの記憶域のクォータ (保留である)] 項目に記載があります。

Title : Exchange Online の回復可能なアイテム フォルダー

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/exchange/security-and-compliance/recoverable-items-folder/recoverable-items-folder

補足

メールボックス保持機能が有効かつ、アーカイブの自動展開が無効になっているメールボックスにて、オンラインアーカイブが有効になっている場合、以下公開情報にてプライマリメールボックスおよび、オンラインアーカイブの回復可能なアイテム領域は既定の 30 GB から 105 GB 拡張される動作となる旨の記載ありました。

<参考情報>

Title : 保留中のメールボックスの回復可能なアイテムのクォータを拡大する

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/purview/ediscovery-increase-the-recoverable-quota-for-mailboxes-on-hold

– 以下抜粋 –

回復可能なアイテム フォルダーのストレージ クォータは、Exchange Onlineのメールボックスに保留が設定されると、自動的に 30 GB から 100 GB に増やされます。 

オンラインアーカイブを有効にした場合は、オンラインアーカイブの [回復可能なアイテム] フォルダーの記憶域クォータも、30 GB から 100 GB へ拡大されます。 

アーカイブの自動展開が無効になっているメールボックスでオンラインアーカイブが有効になっている場合、回復可能なアイテム フォルダー クォータのストレージ クォータが 100 GB から 105 GB に増加します。

– 以上抜粋 –

 訴訟ホールドやアイテム保持ポリシーによるメールボックス保持機能有効化時の動作について

訴訟ホールドなどのメールボックス保持機能を有効化したユーザー (メールボックス) については、ユーザーが Outlook on the web や Outlook クライアントなどの [削除済みアイテム/Deleted Items] フォルダーからさらにアイテムを削除したアイテムが格納される、各メールボックスの [回復可能領域] にてアイテムが保持対象となります。

メールボックス保持機能が有効な場合は、[削除済みアイテムを復元 (Deletions)] に格納後 14 日経過したアイテムは、[回復可能なアイテム領域 (Recoverable Items)] 配下の隠しフォルダーにて保持が行われます。

無期限の訴訟ホールドが有効な場合は、[Purges]、有期限の訴訟ホールド、またはアイテム保持ポリシーによる保持が有効な場合は [DiscoveryHolds] フォルダーに格納され、設定された期間保持が行われる動作となります。

Purges および、Discovery Holds フォルダーについては隠しフォルダーとなるため、Outlook on the web や Outlook クライアント上からは確認できない動作となります。

※ 訴訟ホールドなどのメールボックス保持機能を有効化すると、有効化した際に対象メールボックスに格納されているアイテム、および、それ以降に格納されるすべてのメールボックス内アイテムが保持対象となります。

機能を有効化する前に、既にメールボックスから完全に削除されているアイテムについては保持対象外となるので注意してください。

一方で、訴訟ホールドなどのメールボックス保持機能が無効なメールボックスでは、メールボックスから削除が行われたアイテムは [削除済みアイテム/Deleted Items] フォルダーに移動され、[削除済みアイテム] フォルダーからさらに削除が行われますと、各ユーザーメールボックスに紐づいた [回復可能なアイテム (Recoverable Items)] 領域内の [削除済みアイテムを復元 (Deletions)] というフォルダーにアイテムが移動します。

その後、一定期間 (既定では 14 日間) 経過後完全に削除が行われる動作となります。

※ 完全削除されたアイテムは復元が出来ない動作となります。

オンラインアーカイブの自動拡張を有効化した場合

初回の自動拡張はオンラインアーカイブの通常領域、または、回復可能なアイテム領域の容量が 90 GB に達することで開始され、追加のストレージがご利用できるまで最大で 30 日要します。

<参考情報>

Title : 自動拡張アーカイブを有効にする

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/purview/enable-autoexpanding-archiving

– 以下抜粋 –

自動展開アーカイブを有効にすると、オンラインアーカイブ (回復可能なアイテム フォルダーを含む) が 90 GB に達すると、オンラインアーカイブが自動展開アーカイブに変換されます。 

追加記憶領域がプロビジョニングされるには、最大 30 日かかります。

– 以上抜粋 –

自動拡張機能の詳細動作につきましては、以下の動作となることを確認しております。

<参考情報>

Title : 自動拡張アーカイブに関する詳細情報

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/purview/autoexpanding-archiving

※ [自動拡張アーカイブのしくみ] 項目に記載がございます。

◇ 自動拡張の動作

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1. 自動拡張機能は有効化後にオンラインアーカイブ (Main アーカイブ) の使用容量の増加を検知することで動作の開始が行われ、拡張領域 (AUX アーカイブ) が追加されます。

2. オンラインアーカイブ (Main アーカイブ) 内のアイテムを拡張領域 (AUX アーカイブ) にコピーを行います。

3. コピー作業が完了すると移動対象のアイテムの整合性確認が行われ、整合性に問題が見られなければ Main アーカイブからコピー済みのアイテム削除を行い、Main アーカイブに空き容量を確保する動作となります。

これら一連の作業が完了するまで 30 日程度を要し、その後は、オンラインアーカイブ (Main アーカイブ) の使用容量がひっ迫することで上記作業が繰り返し実行される動作となります。

最終的に [アーカイブの通常領域の容量] および [アーカイブの回復可能なアイテム領域の容量] を合算して最大 1.5 TB まで自動拡張されます。

なお、上記についてはシステム側で操作されており、作業時間の短縮を行う方法はありません。

ExO P2ライセンスを例にすると、単純にオンラインアーカイブを有効にするだけだと、プライマリメールボックスに加えて、オンラインアーカイブとして100GBが確保されるだけです。既定の設定では、プライマリメールボックスの受信のメールは2年経過したら、自動でオンラインアーカイブに移動する動作となります。オンラインアーカイブを100GB以上利用する可能性がある場合は、オンラインアーカイブを有効化する操作に加えて、自動拡張アーカイブを有効(portalからは実施できず、powershellを利用する必要があります)にする必要あります

オンラインアーカイブの有効化設定は、以下の通りportal(Exchange 管理センター)から実施できます。

受信者 → メールボックス → オンラインアーカイブを有効にしたいユーザを選択

補足1

拡張が行われた際、該当ユーザーがご利用の Outlook on the web (または Outlook クライアント) のオンラインアーカイブの領域に <フォルダー名>_yyyy (作成日: mmm dd, yyyy h_mm) が作成され格納される動作となり、このフォルダーからメールを閲覧することが可能です。。

拡張後は、オンラインアーカイブ内のフォルダーを完全削除することはできません。

<表示例>

受信トレイ_2016 (Created on Aug 20, 2019 5_30)

受信トレイ_2017 (Created on Aug 19, 2020 22_20)

受信トレイ_2017 (Created on Aug 20, 2019 6_12)

受信トレイ_2018 (Created on Aug 19, 2020 23_50)

<参考情報>

Title : 自動拡張アーカイブに関する詳細情報

URL : https://learn.microsoft.com/ja-jp/purview/autoexpanding-archiving

※ [追加のアーカイブ記憶領域に移動されるもの] 項目に記載があります。

補足2

追加で拡張される容量 (AUX Archive の容量) は、以下公開情報にて Main Archive から約 50 GB を AUX Archive に移動 (追加拡張) すると記載されているため、おおむね 50 GB 追加される動作となります。

<参考情報>

Title : Office 365: Auto-Expanding Archives FAQ

URL : https://techcommunity.microsoft.com/blog/exchange/office-365-auto-expanding-archives-faq/607784

– 以下抜粋 –

If you have 100GB in the Main Archive at the point where Managed Folder Assistant processes the main archive, we will expand and provision a new auxiliary archive and move about 50GB into that auxiliary archive.

– 以上抜粋 –

補足3

Get-Mailbox コマンドレットにて確認可能な [ArchiveQuota] にて、オンラインアーカイブの通常領域の使用可能容量の上限値の確認が可能です。

オンラインアーカイブの回復可能なアイテム領域の使用可能容量は、[RecoverableItemsQuota] の値となります。

※ [RecoverableItemsQuota] はプライマリメールボックスおよび、オンラインアーカイブそれぞれの回復可能なアイテム領域の利用可能容量の上限値となります。

なお、自動拡張アーカイブの有効化を行い拡張が開始された場合、利用可能なオンラインアーカイブ容量は増加しますが、ArchiveQuota / RecoverableItemsQuota の値は変わらない動作となります。

※ Exchange 管理センター上の対象ユーザーのオンラインアーカイブの [使用状況] に表示される値は現在のオンラインアーカイブの通常領域 (受信トレイや送信済みアイテムフォルダーなど) の使用容量が表示される動作となり、利用可能な上限については表示されない動作となります。

そのため、拡張が行われたかについては、Get-MailboxStatistics 情報より実際の使用容量を確認するか、Get-MailboxLocation にて現在の拡張領域 (AuxArchive) を確認する、といった操作が必要になります。

◆ 拡張領域 (Aux アーカイブ) の追加有無を確認

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以下のコマンドレットを実行することで、拡張領域の追加が行われているか確認することが可能です。

グローバル管理者にて Exchange Online に Windows PowerShell にて接続後実施します。

◇ 現在の拡張領域(AuxArchive) を確認するコマンドレット

[実行例]

Get-MailboxLocation -User User001@contoso.com | Sort-Object MailboxLocationType -Descending | Format-Table MailboxLocationType, MailboxGuid -AutoSize

[出力例]

MailboxLocationType MailboxGuid

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Primary ac5c27bd-xxx-xxxx-xxxx-088e583f19bc

MainArchive 65ed3f76-xxx-xxxx-xxxx-b4ee94bb93ba

AuxArchive 355c708e-xxx-xxxx-xxxx-488301ff9bd0

<実行結果について>

Primary : プライマリメールボックス 

MainArchive : オンラインアーカイブ

AuxArchive : オンラインアーカイブの追加領域

※ 上記実行例では 1 つ目の拡張領域が追加されていることが確認できます。

※ 50 GB の自動拡張領域が追加されることで AuxArchive が追加されていく動作となります。

現時点でのオンラインアーカイブの TotalItemsize や、TotalDeletedItemSize の使用容量を確認する場合は、以下コマンドレットにて確認が可能です。

[実行例]

Get-MailboxStatistics -Identity user001@contoso.com -Archive | Export-Csv -NoTypeInformation -Encoding UTF8 -Path “C:\Temp\Get-MailboxStatistics.Archive.csv"

[出力例]

TotalDeletedItemSize : 回復可能なアイテム領域の使用容量

TotalItemSize : 通常領域の使用容量

その他

通常領域の容量は公式ドキュメントのどこに記載されているか

https://learn.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits#storage-limits

以下「ユーザメールボックス」が該当します。

「保留ではないもの」「保留である」の意味

https://learn.microsoft.com/ja-jp/office365/servicedescriptions/exchange-online-service-description/exchange-online-limits#mailbox-folder-limits-across-standalone-plans

こちらのサイトに記載の①②は同じようなことが書かれているので意味が分かりづらいですが、同時に二つ存在しているわけではなりません。

「メールボックス保持機能有効化されていない場合(①)とメールボックス保持機能有効化されている場合(②)で、回復可能なアイテムフォルダーの記憶域のクォータが変わりますよ」という意味になります。