文化庁主催「著作権セミナー~AIと著作権」

場所

オンライン(youtube live)

第一部 著作権制度の概要

・著作権法・・・著作物を保護するもの

・著作物・・・思想感情を創作的に表現したもので合って、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの

・アイデアは著作物に当たらない。アイデアを保護対象とすると、後発の新たな創作、表現活動を妨げてしまう恐れがあるため(例:画風はアイデアとみなされ保護されない)

・著作者は、著作物を創作した時点で何も手続きを取らなくても著作権を得ることができる

・著作権法では「どのような利用をすれば、どのような権利が働くか」押さえておくことが大切

・著作系侵害の要件・・・①類似性、②依拠性(著作物を知った上で自己の著作物に盛り込んでいる)

 ①類似性、②依拠性の両方がある場合に、著作権侵害とされる

・著作権侵害に対する民事・刑事制裁

 ・民事裁判を起こすことが可能。(差し止め請求、損害賠償請求)

 ・刑事罰の対象にもなる。10年以懲役もしくは1000万以下の罰金など

・権利の制限(許諾を得ず利用できる場合)

 ・権利者から利用を得るのが原則

 ・公益性の高い利用、個人利用のための本をスキャンする などは 許諾を得ずに利用できる

第二部 AIと著作権

基本的な考え方

・①AI開発・学習段階 と ②生成・利用段階 に分かれる

・学習用データには、著作物や非著作物が含まれる

・①②では分けて考える必要がある(利用行為が異なるため)。また、AI生成物は著作物に当たるかも考える必要がある

AI開発・学習段階

・「複製」「譲渡」「公衆送信」等の行為が生じると考えられる

・学習用データセットをWEB上で公開(公衆送信)

・改正前は原則として、著作権の許諾が必要 → 数十億におけるデータの許諾を取るのは非現実

・法第30条の4 導入の経緯(DX推進のためとかのために、著作権法も変わってきた)

・AI関係の著作権法の変更

 ・入力の段階では、著作者への不利益は生じない

 ・享受目的としない利用行為については、著作権者の許諾不要(情報解析にデータを利用する場合など)

 ・著作権者の利用を不当に害することとなる場合は、本条の規定の対象とならない

  情報解析用に販売されているDBの著作物学習目的で複製する場合など

生成・利用段階

・AIを利用して画像等を生成、生成した画像をアップロード、販売

・AIを利用して画像を生成した場合でも、人がAIを利用せずに絵を描いた場合と同じ考え方

 要はAIが作ったものでも、すでに存在している著作物との①類似性、②依拠性が認められる場合は、著作権侵害となる(著作権者からの許諾を得ている場合、権利制限規定に該当する場合は、著作権侵害にならない)

・「依拠性」が認められるか(AIが元の著作物を知っていたか?)はどう判断されるか様々な見解がある

AI利用者側の注意点

・行おうとしている利用行為(公衆送信、譲渡等)が権利制限規定に該当するか

 権利制限規定に該当する場合は著作権侵害にはならない

既存の著作物と類似性のあるものを生成していないか

AI生成物は著作物にあたるか、著作者はだれか

・以前から検討が行われてきた。古くは昭和48年~

・AIが自律的に生成したものは、著作物に該当しないと考えられる(プロンプト等を与えずに生成されたものなど)

・人が思想感情を創作的に表現するための道具としてAIを使用したものと認められれば著作物として認められる

・創作的寄与とみとめられるかについては以下のように検討されている

  ・入力者が画像を選択して投入する場合

  ・たくさんの生成物から、選択する場合 などは創作的寄与に認められそう

  ・今後創作的寄与についても文化庁として考え方を整理していく